「お客様は神様」
1961年、演歌歌手である三波春夫氏の発言が元ネタとされる言葉。
元々は雑念を払い真摯に向き合う心構えとして語られていた。
昨今においても主に接客、宿泊業などでおもてなしの姿勢の意味として多く語られている。
そんな、「お客様は神様」の考えが改められた。
今回は旅館業法改正による悪質な利用者の宿泊拒否について見ていきたい。
カスハラ法改正が施行
2023年にはいり法が成立した。
それは改正旅館業法にて、
利用者が悪質または理不尽な要求をするいわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を行った場合は、宿泊を断れるというものだ。
従来、宿泊施設側は宿泊希望する利用者を断ることができなかったのだ。
そのため、カスハラが発生した際はなんとか宥めて落ち着いてもらい、
場合によっては宿泊料を無料するなど低い立場にあったのだ。
そんな旅館業であったが今回の改正により、施設側の判断で宿泊拒否ができるようになったのだ。
そもそもカスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメントとは、
顧客、従業員が嫌がらせや迷惑行為をすることを指します。
例えば、店舗やオンラインでの買い物中に、
急にお客様からの不適切な言動や態度を受けることがあります。
また、従業員同士の無視、侮辱、差別的な発言すること、暴言や脅迫、セクシャルハラスメントなども含まれます。
これらの行為は、尊厳を傷つけ、心理的な苦痛やストレスを引き起こす可能性があります。
従業員同士なら民事裁判、上司による注意など速やかな対応ができる客商売においては対応が難しいのだ。
今後の営業のために煮え湯を飲む選択3
カスタマーハラスメントをする顧客の中には
意図的にサービスの無料、詫びを求めることが目的でハラスメントをする場合もある。
普通なら理不尽な要望は突っぱねれば良いとも思うが客商売の場合は、不快な対応をされたと周りに評価を広められる可能性が有るのだ。
真意は別としてその評価、口コミが信じやすいものであったのなら、大変である。
そのため、今後の数十万の利益損失よりも目先の数万の損失と気持ちを捨てるという選択肢を取らないといけないことが横行していたのだ。
ではそもそもなぜ、旅館業はここまで下手にならないといけないのだろう?
戦後の名残から生まれた法律
そもそも論になるがなぜ、旅館側がなぜ宿泊を拒否できなかったのか?
その理由は戦後間もない1948年の旅館業の成立にある。
戦後の混乱期にあった当時、
国民の生活はまだ安定せず、移動者の中には行き倒れや野宿をすることが往来していた。
そのため、それらの撤廃、防止のためにも旅館側は宿泊をお願いされたときは、
原則として宿泊拒否できないものとしたのだ。
コロナによって変わった価値観
おそらくは前々から法改正の声はあっただろうが決め手となったのはコロナである。
コロナ禍のピーク時、
マスク着用の拒否や、感染対策に応じない客に対し、宿泊を断ることができるように強い声が上がったのだ。
この時代の変化、強い要望により、今日の法改正に繋がったのだ。
労災認定も後押しに
さらにカスハラなどによる精神的な負荷が労災認定されるようになったのも大きい。
そもそも労災とは、
労働者が業務中や通勤途中に発生した事故や病気により、労働に支障をきたす場合に、労働者やその家族に対して給付金や治療費などを支給する制度である。
一般的には労働者が業務中に怪我をした場合、例えば工場で機械に手を挟んだり、倒れた物に当たったりするなど、労働災害として労災保険が適用されていた。
しかし、昨今は精神的な疲労、外傷が注目されるようになった。
例えば、過重労働、暴力的な事件や事故、いじめやセクシャルハラスメントなどが挙げられます。
労働者は、これらの状況によって心理的なダメージを受ける可能性があります。
精神的外傷は、
労働者が業務上のストレスやトラウマによって心理的な苦痛を経験することを指し今後の労働に支障をきたす問題であるとされたのだ。
労災保険は、労働者と雇用主の信頼関係を築くためにも重要な要素です。
労働者が安全に働ける環境を整え、労働者の健康と安全を守ることが求められます。
お客様はお客様
さて、今回は旅館業の法改正、カスハラ客は宿泊拒否できるということを見てきた。
旅館業などは昔から深刻な人手不足、劣悪な労働環境など働いている人があまり報われない世界だった。
いままでは「お客様は神様」とはおもてなし、慈しみの精神の姿勢として文化的に根付いていた旅館業のあり方だった。
しかし、資本主義の繁栄の末路なのか
「お客様は神様」はお金を使っているのだから何をしても良いと利用者側に視点を乗っ取られた言い文句になってしまった。
せっかく旅行に来ているのだから、利用者も従業員も気持ち良い状態で過ごしたいものである。
今後はその姿勢がこの法改正で変わることは祈りたい。
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